Adobe Illustrator用 バーコード作成プラグイン「Serial Barcode」

前回は、バーコードの基礎知識と歴史に関しまして簡単にご説明致しました。
今回は、バーコードの印刷や読み取りの基本についてご説明致します。

第11回はバーコードの印刷から読み取りの基本についてご説明致します。

バーコードの印刷の基本
バーコードをパッケージや段ボールなどに印刷する際は、注意しなければならない点が幾つか有ります。それらを怠ると、バーコードリーダーによっては読込みができず、印刷のやり直しやバーコードの作り直しが必要となります。バーコードの種類によっても、それぞれ必要な要素はあるのですが、種類関係なく共通して適用される基本的な注意事項が以下の3つとなります。

バーコード印刷時の3つの基本事項
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・クワイエットゾーン(余白)の確保
バーコードの左右に、ナローバー幅の10倍以上のクワイエットゾーンを確保します。
上下には必要有りません。

・バーの色、背景(スペース)の色
バーコードリーダーは一般的に赤色のLEDやレーザー光ですので、赤い光を反射しやすい色(白、黄、橙など)で背景を、赤い色を吸収しやすい色(黒、濃紺、濃緑など)でバーを作成する必要があります。また、銀色の下地など、表面に光沢があるものは非常に読み取りにくくなりますので、できるだけ避けた方が良いです。

・プリンタの印字密度とナローバー幅
プリンタには、300dpiや400dpiのように印字密度が定義されています。プリンタの最小印字密度でバーコードを作成すると、バーコードの読取が不安定になる場合がありますので、一般的にナローバー幅を2ドット以上で作成する必要があります。

これら3つの条件は、基本的な注意事項となりますがこの他にもバーコードリーダーの設定とスペックも併せて確認、調整する必要があります。

「ドットプリンタで作成時の注意点」
ドットインパクトプリンタは、インクリボンをワイヤでたたいて用紙にインクを転写する方式で、用紙を選ばない、ランニングコストが安いなど利点があります。しかし、印刷時に「にじみ」などを起こし易いため、バーコードを印字する際は、

・バーそのものに、凹凸ができてしまう

・インクリボンが薄くなると、ドットとドットの間に隙間が発生する。

・インクリボンの薄さによって、コントラストも薄くなる

上記のような点に注意が必要です。

バーコード読取の基本

「正確にバーコードを読込む」
印刷の基本でもご説明しましたが、バーコードを機械で読み取るにはバーコード自体「充分な余白、各色と濃淡、サイズと密度、バースペースの幅」が重要となります。また、桁落ちが発生しやすいITFコードや、誤読が発生しやすいCODE39を始めとするバーコードを、正確に読み取るため、チェックデジットの付加や、バーコードリーダーの読取桁数設定を調節するなど、それぞれの種類に合わせて、設定を変更する必要があります。

「読取時のトラブル」
・印字する対象によって読み取れない

Q ~
普通のシールに印字すると読み取れるけど、ダンボールに印字したバーコードの読取が安定しないことがある。
A ~ 
ダンボール地は、レーザー式の読取機などではダンボールの繊維をバーとして認識してしまい、読取辛くなる場合があります。解決策としては、分解能が大きいバーコードリーダーの使用が推奨されます。また、ダンボールはバーコード以外のデザインや、箱の材質など条件が多く変化するため、バーコードもそれにあった条件で印字することが重要です。

Q ~
光沢のある素材にバーコードを印字した所、読み取りにくくなった。
A ~ 
レーザー式バーコードリーダーの読取は、対象に照射したレーザー光の乱反射光を受光して読取を行っています。表面に光沢がある場合、乱反射を行わず鏡面反射をおこしてしまうため、読取辛くなる場合があります。この場合は、光沢の無い紙などを、リーダーの対角にかざして乱反射を起こすか、印刷素材自体の変更を検討してください。

・バーコードリーダー側の理由で読み取れない
Q ~
レーザー式バーコードリーダーで推奨距離にしているのに、読み取れない。
A ~ 
読取対象に対して、垂直に取り付けられている場合は、レーザー光の乱反射が起こらず読み取れない場合があります。リーダーを傾けて読み取りを行うと、読み取れます。

Q ~
レーザー式バーコードリーダーでテスト時には問題無かったのに、運用時に読み取りが不安定になる。
A ~ 
外からの光の影響、外乱光の影響が考えられます。明るいフロア、光電センサ、照明の光源、窓からの直射日光などが影響している場合があります。なお、逆に他の光が無い暗い場所であれば、安定して読み取ることができます。

Q ~
CCDバーコードリーダーで読み取りがうまくできない。
A ~ 
CCDバーコーリーダーは、カメラと同じように焦点(ピント)があっていないと読み取る事ができません。焦点の合う距離を「フォーカルプレーン」と呼び、これがあっていないとピンぼけの状態となり、読み取りが難しくなります。また、CCDバーコードリーダーはその性質上、対象物が高速で移動したり振動している場合は読取できない場合があります。これは、リーダーのLED光のパルス発行時間で決まります。

Q ~

スキュー角、ピッチ角、チルト角とは?
A ~ 
バーコードリーダーを設置する時の角度になります。
スキュー角・・・リーダーの光軸を基準に、バーコードの上下に対する角度
ピッチ角・・・リーダーの光軸を基準に、バーコードの左右に対する角度
チルト角・・・バーコードラベルの回転に対する角度
読み取りや易くするためには、主にスキュー角を調整すると改善されます。

 次回は、バーコードをプラグインソフトで作成する利点をご紹介する予定です。