Adobe Illustrator用 バーコード作成プラグイン「Serial Barcode」
~バーコードの基本構成と歴史 ~今回から、原点に戻りバーコードの基礎知識に関してご説明していきます。
SerialBarcodeでバーコードを作成する際には、基礎知識があれば作成がスムーズに進みます。
【バーコードとは 】
バーコードは、縦模様状の線を一定の規則に従って並べ黒(バ−)と白(スペース)で数字や文字、記号を表す識別子です。基本的には、横方向のみに情報をもつ一次元コードですが、近年、ドットを配列し縦横どこからでも情報が読込める二次元コードも普及してきました。
【バーコードの基本構成 】
「バーコードの構成」
バーコードは、スタートキャラクタからストップキャラクタまでのシンボル本体と左右に、読取に必要な余白であるクワイエットゾーンを入れて成り立ちます。また、種類によってはチェックデジットも必要となります。
・クワイエットゾーン
バーコードシンボルの左右にある余白の部分で、この余白が充分に無いと読み取りできません。左右それぞれに、最小エレメントの10倍以上必要です。なお、縦には必要有りません。バーコードを作成する上で、もっとも気をつけるべき場所です。
・スタート/ストップキャラクタ
データの始まりと終わりを表す文字です。バーコードの種類によってことなります。”*”で始まるパターンや”a,b,c,d”で表すものもあります。JANコードやITFコードの場合は、文字ではなく始まりと終わりにバーがあります。
・データ(メッセージ)
データとして表される文字(数字、アルファベットなど)のバーパターンが左から並んでいます。
・チェックデジット
読み誤りがないかをチェックするために、算出された数値で、バーコードデータの直後に付加されます。詳しくは、下記参照してください。
・バーコードの長さ
バーコードの長さは、クワイエットゾーンも含めた長さを差します。バーコードリーダーの読み取り幅内に、クワイエットゾーンも含めたバーコードが入っていないと読み取れません。
・バーコードの高さ
バーコードの高さは、印刷出来る最大限を確保ですることが望まれます。バーコードの長さの15%以上を確保することが推奨されます。
「ナローバー(スペース)とワイドバー(スペース)」
バーコードを構成する最小単位なのが、黒バーと白スペースです。
ナローは細く、ワイドは太い方を差します。太い黒バーをワイドバー(WB)、細い黒バーをナローバー(NB)、太い白スペースをワイドスペース(WS)、細い白スペースをナロースペース(NS)と呼びます。
[細(ナロー):太(ワイド)の規定比率]
NB:WB = WS:NS = 1:2 ~ 1:3
推奨値 1:2.5
NWの比率が規定範囲以外の比率になると、バーコードリーダでは読取が不安定になります。このナローバーの幅がどれくらいあるかが、バーコードリーダー選定のポイントになり、これは「最小エレメント幅」と呼ばれます。
[ナローバー幅が細いと]
・バーコードのサイズが小さくなり、決まったスペースに桁数の多いバーコードを印字できます。但し、バーコードリーダーで読み取れる範囲(読み取り深度)が狭くなり、印字するプリンタは、レーザープリンタや熱転写プリンタなど高い精度が必要になります。
[ナローバーが太いと]
・バーコードのサイズが大きくなり、リーダーで読み取れる範囲(読み取り深度)が広くなります。プリンタは、ドットプリンタやFA用インクジェットプリンタなど精度が低くても大丈夫です。
「バイナリレベルとマルチレベル」
上記のように、細太2段階のバ、スペースで構成されたバーコードを「バイナリレベル」のバーコードと呼び、比率は1:2 ~ 3と許容度が広くなっています。CODE39、NW7、ITFなどがこれにあたります。
また、バー(スペース)のサイズが4段階あるバーコードを「マルチレベル」のバーコーと呼び、比率は1:2:3:4と、許容範囲がほとんどないバーコードです。JAN、CODE128などがこれにあたります。印字精度が悪いと、バーの太さの判別がつきにくく、読み取りエラー発生の危険が高くなります。従って、ドットインパクトプリンタなど、印字品質が低いプリンタでは、JANやCODE128には適していません。
「チェックデジット(CD)」
チェックデジットとは、バーコードの読み誤りがないかをチェックするために、算出され、主にコードの末尾に付与される数値です。バーコードの種類によって、計算方法が異なり、各計算方法によって出された数値と、読み取り時に不一致があった場合はリードエラーが出ます。
【バーコードの歴史】
バーコードはそもそも、スーパーマーケットのチェックを素早く正確に行うために、開発された技術です。まだバーコードの無かった1930年代は、商品目録と連動したパンチカードや、価格によって変わるメタルタグなどを商品につけ、チュックが行われていました。
バーコードの原型となる識別子シンボルは、1940年代にアメリカの大学生達が開発した、細太のバー&スペースで構成された多重円形のバーコードが始まりとされています。
その後「機器の分類と識別」として50年代に特許を獲得、初めてのバーコードリーダーが作成されましたが、実用には至りませんでした。
55年に、今のPOSシステムの原型となる自動チェッキングシステムが提案され、60年代から70年代にかけて産業業界や流通業界で様々に試行錯誤され、 2of 5 codeやUPCコードが開発されました。
日本では、70年代初期にPOSの原型となる自動チェッキングシステムが、ダイエーと三越百貨店でテスト導入され、各電子メーカーでこぞってPOSシステムの開発が行われました。70年代に後半には、国内流通シンボルを作成するとして、基準コードがEANとCodaBarに絞られ、共通商品コード用バーコードシンボルJANが開発されました。しかし、当初は商品パッケージの印刷変更の手間や、管理費用の増加な負担が大きく、なかなか普及しませんでした。
その後、84年にセブンイレブンがPOSシステムを全国的に導入し、納入業者全てにマーキングすることを求めた頃から、コンビニやスーパー、専門店へPOSシステムが広がり、急速に拡大していきました。その後、書籍や医療、郵便など様々な業界に向けたバーコードが開発され、今現在、世界には100種類以上のバーコードが存在します。