「小規模事業者持続化補助金」とは、持続的な経営に向けた計画を立て、販路拡大や生産性向上に取り組む小規模事業者(個人事業主を含む)に対し、経費の一部が補助されるものです。この補助金は、地域の商工会議所や商工会の支援が必要ですが、非会員でも申請することができます。

ここでは、小規模事業者持続化補助金の特徴や対象となる事業・事業者・経費のほか、補助金申請から受給までの流れなどについて記載しています。

売上アップの為の経費の一部をサポートする補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が販路拡大や生産性向上に取り組む場合に受けられる補助金です。

この補助金の特徴は、事業者が事業計画書を作成した上で、地域の商工会議所・商工会で指導を受け、事業支援計画を策定してもらうことにあります。計画に基づいて販路拡大や業務効率化などに取り組むことが、補助金を受ける条件となっています。

尚、仮に補助金の採択を受けて真摯に事業に取り組んだものの、売上アップには繋がらなかったとしてもペナルティはありません。

申請するメリット

小規模事業者持続化補助金を申請して採択を受けた場合のメリットをご紹介します。

販路開拓や新商品開発時の金銭面の負担が軽減できる

事業者が新たに販路を開拓したり、新商品を開発したりする場合には、相応のコストがかかります。
小規模事業者持続化補助金は、そのコスト(経費)の3分の2程度(50万円または200万円が上限)が補助されるため、持続的経営に向けた販路拡大や生産性向上に取り組みやすくなるのがメリットです。

自社の経営計画を見直す機会になる

事業者が小規模事業者持続化補助金を申請する際に、経営計画書などを提出する必要があります。この経営計画書には経営方針や顧客ニーズ、市場動向のほか自社の強みや今後のプランなどを記載する必要があります。補助金を申請するための経営計画書作成は、自社の経営を見直す良い機会となるでしょう。

相談員からアドバイスが受けられる

補助金申請に関する書類作成については「難しそう」とか「一人で作る自信がない」など不安を抱く事業者は少なくないかもしれません。
小規模事業者持続化補助金は、商工会議所や商工会の助言を受けて申請する必要があります。これは言い換えれば、商工会議所や商工会から経営計画書作成に関するアドバイスが受けられることを意味しています。
一人で作成することに比べて第三者の目線を通し、補助金を受けるための要件を満たしているか、不備がないかといったポイントを確認してもらえるのは実に心強く良い機会と言えるでしょう。

特徴

小規模事業者持続化補助金には、スモールビジネス事業者にとって申請しやすい補助金です。ここでは、小規模事業者持続化補助金の特徴を解説します。

商工会議所や商工会の会員・非会員を問わず申請できる

小規模事業者持続化補助金は、商工会議所や商工会の助言を受けて申請するため、「会員になっていないから受けられない」と思っている事業者も少なくありません。しかし、商工会議所や商工会の非会員であっても申請可能です。

非会員の場合は、まず、自身が事業を行っている地域(事業拠点)を管轄している商工会議所または商工会を調べてみてください。商工会議所や商工会によって書類の様式が異なりますので、事前に電話で問い合わせることが大切です。

会計ソフトを購入しても補助金が受けられる場合がある

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓だけでなく、生産性向上への取り組みも支援されます。業務効率化のために会計ソフトを購入した場合なども、補助対象になる可能性があるのです。

スモールビジネス事業者にも申請しやすい

補助金の中には、大掛かりな設備投資を対象とするものもありますが、小規模事業者持続化補助金は、幅広い経費が対象となっており、比較的、申請しやすい補助金といえます。「創業枠」などは、創業したてのスモールビジネス事業者でも申請可能です。また、2023年は一定の条件を満たせば、「インボイス特例」で補助金額に50万円が上乗せされる支援措置を受けることもできます。

対象経費

小規模事業者持続化補助金は、どのような経費が補助対象になるのでしょうか。ここでは、対象となる経費科目と活用事例について具体的に解説します。

使用目的が補助事業遂行に必要と明確に特定できる経費が対象

小規模事業者持続化補助金の補助対象となるのは、販路開拓や生産性向上のために行う事業に関わるものです。そして、補助金を申請し、審査を通り、補助金が交付されることが決まってから発生した経費が対象になります。交付決定前に発注や支払い、納品があった場合、その経費は原則として補助対象になりません。
補助金を受けるには、「補助事業のために必要な経費である」と明確に特定できることが条件となっているため、対象経費の証拠書類を提出する必要があります。証拠書類とは、見積書、発注書、契約書、納品書、請求書、領収書などで、経費科目ごとに必要な証拠書類は異なるので注意してください。

実際のところ、Webサイト関連費で申請するケースが多いですが、注意したいのは、Webサイト関連費のみでの申請が認められていないこと。また、Webサイト関連費は、補助金総額の4分の1が上限です。これは、単にWebサイトを立ち上げるだけでは、販路拡大の効果が得られるかが微妙なのが理由です。どのような客層をターゲットとして設定し、そのためにどういったWebサイトを立ち上げ、何を訴えるのかといった戦略を立て、その他の補助対象経費もバランス良く含めましょう。
なお、設備処分費も補助金総額の2分の1が上限であり、単体申請はできません。

補助対象にならない経費と申請しにくい経費

販路拡大や生産性向上を目的に「パソコンの最新機種への買い替え、台数増加」や「車やオートバイの買い替え」などを検討しがちです。しかし、これらは汎用性が高く、販路拡大などの目的以外にも広く使用できそうなものなので、補助対象にならないことに注意しましょう。

また、旅費は証拠書類をそろえるのに手間がかかるという難点があります。資料購入費もすぐに必要な場合が多いものですが、申請して審査に通るまで買うのを待つ必要があるため、使いにくさを感じるかもしれません。

申請するために必要なもの

小規模事業者持続化補助金申請のためには、次のような書類を準備する必要があります。詳細は補助金事務局Webサイトにある、「応募時提出資料・様式集」で確認しましょう。

事業者が申請するために準備必須の書類

  • 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
  • 経営計画書兼補助事業計画書1(様式2)
  • 補助事業計画書2(様式3)
  • 確定申告書あるいは開業届の写し(個人事業主の場合)
  • 貸借対照表・損益計算書(法人の場合)

小規模事業者持続化補助金の特徴は、商工会議所や商工会が介在することです。申請時には、「経営計画書兼補助事業計画書1(様式2)」などを作成して商工会議所・商工会に提出し、内容を確認してもらうとともに「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう必要があります。

2023年度の小規模事業者持続化補助金の申請方法

小規模事業者持続化補助金申請から受給までの流れ(2023年度)

STEP手順実施担当
1補助金事務局のWebサイトで内容を確認事業者
2補助金事務局のWebサイトで申請書書式をダウンロードダウンロード書類持続化補助金事業に係る申請書(様式1)経営計画書兼補助事業計画書1(様式2)補助事業計画書2(様式3)事業者
3申請書を作成事業者
4管轄の商工会議所・商工会を予約事業者
5管轄の商工会議所・商工会に経営計画書兼補助事業計画書1(様式2)、補助事業計画書2(様式3)を提出し、事業支援計画書(様式4)を発行申込事業者
6内容確認商工会議所・商工会
7事業支援計画書(様式4)を発行商工会議所・商工会
8必要書類一式を小規模事業者持続化補助金事務局に電子申請または郵送事業者
9申請内容の審査小規模事業者持続化補助金事務局
10採択・交付決定連絡小規模事業者持続化補助金事務局
11補助事業を実施事業者
12実績報告書の提出事業者
13確定検査・補助金額の決定小規模事業者持続化補助金事務局
14補助金の請求事業者
15補助金の入金小規模事業者持続化補助金事務局
16事業効果および賃金引き上げなどの状況報告事業者

申請のために自身で書類をそろえるには、早ければ1日、慣れないと1週間程度は見ておきたいところです。商工会議所・商工会は請締切が近づくと予約が取れない可能性もあります。申請することを決めたらすぐに予約を取り、書類の準備を始めてください。遅くとも申請締切日の3~4週間前には準備を開始しましょう。なお、申請受付締切後、審査結果がわかるまでには2~3か月程度かかります。

補助金の審査を通りやすくするためのポイント

補助金の審査を通るためには、どのような点に気を付けたらいいのでしょうか。ここでは、小規模事業者持続化補助金の審査を通りやすくするためのポイントを解説します。

経営計画書はわかりやすく書く

経営計画書などの書類は、審査側の立場に立って、わかりやすく書くようにしてください。業種・職種特有の専門用語を使うのであれば、その解説も必要です。図表や写真を積極的に入れましょう。

販路拡大や生産性向上を目的とした補助金なので、その記述があることは必須条件です。補助金を受けて、補助事業を行うことでどのような成果が期待できるか、なるべく具体的に、根拠を明らかにして記載してください。特に売上目標については、「何%アップ」と書くより「◯◯◯円増える」と金額で記載します。

加点要素があれば忘れずにチェックする

小規模事業者持続化補助金の「公募要領」には、どのような事業が対象になるかといったことが、詳細に記載されています。補助金は、要件を満たせば漏れなく受けられるわけではありません。要件を満たしたうえで、より高い効果が期待できる事業者が優先的に採択されています。

その審査においては「重点政策加点」と「政策加点」があり、それぞれ1種類、合計2種類を選択可能です。重点政策加点では、例えば赤字の事業者が賃金引上げ枠を申請する場合に加点されます。また、政策加点は、過疎地域の地域経済の発展につながる取り組みを行う事業者なども加点対象です。該当する事業者は、申請書類の経営計画書兼補助事業計画書1(様式2)の「加点の付与を希望する」欄に忘れずにチェックを入れてください。

初めての補助金申請にチャレンジしましょう

小規模事業者持続化補助金の目的は、あくまで販路拡大や生産性向上を実現させることにあります。決して「補助金を受ける」ことが目的ではないので、しっかりと経営計画を立て、専門家に相談をすることで経営のプラス材料にしていきたいところです。

補助金というと、「手続きが面倒で難しそう」と考えがちですが、1回申請し、一通りの経験を積んで成功体験を得れば、別の補助金・助成金にも格段に挑戦しやすくなります。
小規模事業者持続化補助金の申請は、他の補助金の申請に比べて難しくありませんし、大きな設備投資が条件になっていたりしないのも特徴です。小規模事業者持続化補助金で、初めての補助金申請に取り組んでみてはいかがでしょうか。

関連リンク

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